デジカメ仕様表(スペック)の見方~レンズ「ズーム」

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ズームには、大きく分けて「光学ズーム」と「デジタルズーム」があり、「デジタルズーム」は画像処理によって実現されます。

画像処理の方法によって、大きく「単純拡大」、「超解像技術による拡大」、「クロップ処理による拡大」の3種類があります。

光学ズームはレンズだけでズームを行う方法なので、画質の劣化はありません。

厳密に言うと、高倍率ズームになるほど、ズーム側(望遠側)の画質が劣化するのですが、それはレンズの性能であり、その製品の個性になるので、ここでは無視します。

光学ズームの画質が100%だとすると、デジタルズームを使ったば場合、倍率が高いほど著しく画質が劣化します。

ほとんどのコンデジに搭載されていて、一番劣化がひどいのが、仕様表に「デジタルズーム」と書かれているものです。

目次

デジタルズームは単純に拡大しただけ

これは、ズームしたい部分の画像を切り出し、その処理で減った画素を単純に縦横にコピーして増やすことで、元の画素数に戻すという方法です。

例えばデジタルズームが2倍だと、1つの画素を縦2個、横2個に増やします。

デジタルズームが4倍だと、1つの画素を縦4個、横2個に増やします。

この方法でズームをすると輪郭がぼやけてくるので、輪郭を強調するような画像処理を合わせて行います。

パソコンのペイントショップやフォトショップなど、画像処理ソフトで単純に拡大したのと同じような結果になります。

Webサイトに掲載するような小さな画像では、そこそこ実用的になりますが、A4サイズに印刷するとなると、せいぜい2倍程度が限界かと思います。

ちなみに、光学ズームにデジタルズームを適用することになるため、光学ズーム倍率×デジタルズーム倍率が、最大倍率となります。

超解像技術による拡大は、2倍程度までは廉価が少ない

デジタルズームは画像を一律に引き延ばし、輪郭強調を掛けていたのに対し、超解像技術による拡大は、画素をいくつもの部分に分割し、各部分の画像の傾向を判断し、それぞれに応じた最適な画像処理を行う方式です。

例えば、青空と波しぶきの写真を撮影した場合、青空は色の変化や雲の輪郭が甘いのに対し、波しぶきは色の明暗や画像の細かさ多くなります。

そこで、それぞれに対して最適な画像処理を行う事で、単純なデジタルズームよりも劣化が少ない画像が得られるわけです。

各メーカーとも、様々な呼び方でこのズームを搭載していますが、おおむね2倍が限界のようです。

また、光学ズームの代わりになるものなので、デジタルズームの様な2倍とか4倍という表記ではなく、40倍とか80倍という大きな値で表現しています。

一見、光学ズームに対して、更に40倍のズームができるように思いがちですが、例えば20倍の光学ズームだった場合、20×40=800倍という訳ではありません。

あくまでも光学ズームは20倍で、超解像技術を使って40倍相当の画質が得られるということです。

光学ズームの代わりというと、デジタルズームが併用できそうな気もしますが、そのようにはなっていないようです。

無論、技術的には可能なのですが、せっかく超解像ズームで画質の劣化を防いでも、デジタルズームで画質を劣化させると意味が無いからなのでしょう。

クロップ処理による拡大は、劣化は無い代わりにラージサイズでは使えない

クロップは一部を切り落とすという意味ですが、クロップ処理はデジタルズームと同じ様に、画像の一部を切り抜きますが、エッジ処理や補完は行われません。

つまり、拡大したい部分を切り取るという画像処理だけを行い、画素数はそのままの状態で画像を出力します。

従って、そのカメラの最大サイズの画像(ラージサイズ)では使えません。1つ下のミドルか2つ下のスモールでないと使えないのです。

その代わり、画像の劣化はありません。

パソコンで画像を切り取ったら、そのまま保存するのとまったく同じです。

私はいつも最大画素数で撮影していますので、この機能は使う事はありませんが、もしミドルかスモールのサイズで撮影されているのであれば、この機能はとても有難いものになります。

このクロップ処理によるズームも、メーカーによって様々な呼び方がされています。

光学とデジタルは意識しなくてよい時代

光学ズームとデジタルズームについて見てきましたが、今時の製品は、ズーム領域に合わせて最適なデジタルズームを採用するようになっています。

たとえば、ズームしていくうちに、光学ズームを超えると、自動的に超解像ズームに切り替わり(超解像ズーム搭載機種のみ)、さらにそれを超えるとデジタルズームに自動で切り替わります。

また、画像サイズがミドルの場合、光学ズームを超えるとクリップ処理によるズームが行われ、それを超えると超解像ズーム、それを超えるとデジタルズームに自動的に切り替わります。

ここで気を付けなければいけないのは、知らない間にデジタルズームに切り替わっていて、家に帰ってみたら画像が荒かったという事です。

単にカメラの液晶モニタで見ただけでは、デジタルズーム領域に入っているかどうか見分けがつきません。

無論、拡大表示していくと分かりますが、いちいちそんなことをしているのも面倒です。

もしこのような事態を危惧されるのであれば、デジタルズームをOFFにしておく方が無難です。

実際の仕様表で解説

それでは、CANON PowerShot SX740 HSの仕様表を見ていきましょう。

光学ズーム倍率 40倍
デジタルズーム倍率 約4.0倍
プログレッシブファインズーム(ラージ時) 約80倍

このカメラは24mm~960mmの光学40倍ズームレンズを搭載しています。

デジタルズームは4倍になっていますので、光学ズームと併用すると160倍=24×160=3840mm相当になります。

もっとも、これだけ拡大すると、相当画質は劣化するでしょう。

プログレッシブファインズームは、80倍となっていますね。

超解像技術が適用されるので、光学ズーム40倍×2倍=80倍=1920mm相当のズームが可能です。

約2000mmですが、この焦点距離までは、画質はあまり劣化しないと考えて良いかと思います。

無論、人によって劣化しているかいなかの判定は違いますので、各自の判断によりますが・・・。

まとめ

デジタルズームには

 

  • 光学ズーム
  • 超解像技術によるズーム
  • クロップ処理によるズーム

 

 

の3種類があります。

画質は

光学ズーム≒クロップ処理によるズーム>超解像技術によるズーム>デジタルズーム

という順番です。

デジタルズームは画質劣化(または画素減少)が起きますので、あくまでも補助的なものと考えて下さい。

また、光学ズームであったとしても、ズーム倍率が高いほどズーム側(望遠側)の画質が低下(光学的に無理をするため)しますので、画質を優先する場合は、必要最小限のズーム倍率に留めておく方が無難です。

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