写真のノイズ、気になったことはありませんか?
高感度撮影で発生するざらつき、古い画像の劣化、細部のぼやけ—これらは、せっかくの美しい写真を台無しにしてしまいます。そんな悩みを解決してくれるのが、AIノイズ除去ツール。近年、AI技術の進化により、プロのレタッチ不要でノイズを軽減できるツールが急速に増えています。
しかし、種類が多すぎて「どれを選べばいいの?」と迷っていませんか?今回は、ネットで話題のAIノイズ除去ツール7選を実際に検証し、その実力を徹底評価しました。
果たして、本当にキレイになるのか?どのツールが最も優れているのか?気になる結果を、ぜひチェックしてください!
ノイズ除去の総評(結論)
今回、7つのサービスのノイズ除去機能を評価した結果、いずれのサービスも高い除去性能を持っており、優劣をつけるのは難しいという結論に至りました。
AIによるノイズ除去は、学習したデータを基に、ノイズによって損なわれた部分を推定しながら描画する仕組みです。しかし、特に文字などの細かいディテールは推定が難しく、完璧に復元することが困難なケースもあります。
この点が、現時点におけるAIモデルの技術的な限界の一つと言えるでしょう。今後の技術進化によって、より正確な補完が可能になることが期待されます。
ノイズ除去は、一般的に高感度撮影によるノイズを低減し、画質を改善するための救済的な手法として活用されます。しかし、1インチセンサーやマイクロフォーサーズなどの低感度撮影においても、ノイズを除去することで、よりクリアで鮮明な写真に仕上げるという積極的な使い方が可能です。
従来は高感度撮影時のノイズ低減が主な用途でしたが、低感度の微細なノイズを取り除くことで、画質の向上やディテールの強化を図ることができます。このアプローチにより、より洗練された写真表現が実現し、作品の質をさらに高めることができるでしょう。
ノイズ除去の性能評価方法について
今回は、Olympus E-M10 Mark 3 で撮影した ISO-25600 の画像を使って、各社のノイズ削減効果を比較しました。
着眼点としては以下の2点です。
- 元のディテールを残しながら、どこまでノイズが削減できているか
- ノイズ削減によって、文字表記がどの程度再現されるか
尚、各社ともノイズ除去の効果は0~100の間で調整可能ですが、今回は各サイトの初期設定の結果を掲載しています。
画像の比較は、黄色の枠で囲った部分を拡大表示しています。

ISO-256000で撮影した画像
下記は黄色部分のノイズです。マイクロフォーサーズで ISO-256000という過酷な条件ですが、思ったほどノイズが乗っておらず、驚きました。とはいえ、下記の通り拡大すると結構ノイズが目立ちます。
これがどの程度改善されるか、見ていきましょう。


ISO-200で撮影した画像
ちなみに、ISO-200 で撮影した画像のクオリティは下記の通りです。


CyberLink

概要
CyberLink(サイバーリンク)は、1996年に台湾の新北市で設立された企業で、主にマルチメディア関連のソフトウェアを開発しています。
同社が販売するソフトウェアの中の1つに、画像編集に特化したPhotoDirector 365があり、このソフトウェアの機能の1つに、AIノイズ除去があります。

ノイズ除去機能を利用するには、専用のインストーラーを使ってパソコンにインストールする必要があります。
また、評価版は用意されていますが、処理結果(ノイズ除去済みの画像)をダウンロードすることができません。
料金体系は、サブスクのみとなっており、1か月プランと2か月プランの2通りが用意されています。

ノイズ除去の効果

ディテールが若干損なわれているものの、ノイズはかなり除外されています。ただ、文字の再現性は良くないですが、等倍で確認さえしなければ気にならない程度まで画質が改善しました。
MyEdit

概要
CyberLink が運営するウェブサービスで、AIを使ったデザイン、画像、動画、オーディオの編集が行えるサービスです。サービス利用に際しては、あらかじめクレジットを購入する必要があります。

ユーザー登録することで、毎日ログインするたびに3クレジット付与されます。1日1画像だけのノイズ除去で良い場合は、無料で使い続けることが可能です。
ノイズ除去の効果


おそらく同じエンジンを使っていると思いますが、PhotoDirector 365と全く同じクオリティです。
Visual Paradigm

概要
Visual Paradigm(ビジュアル・パラダイム)は、ソフトウェア開発やビジネスプロセスモデリングのための統合ツールを提供する企業です。同社は、Visual Paradigmの各種ツールをオンライン(Visual Paradigm Online)にてサービス提供しており、その中の1つにノイズ除去機能があります。
ウェブサービスなのでインストールは不要です。1024×768以下の画像であれば、無料で利用できます。これより大きなサイズの画像をアップロードについてもノイズ除去はしてくれますが、ダウンロード時は1024×768に縮小されてしまいます。
大きなサイズの画像に対してノイズ除去したい場合は、サブスクの契約が必要です。
ノイズ除去の効果


ノイズ除去結果は CyberLink と互角です。CyberLink と比べて画像が若干甘いかもしれませんが、これは1024×768に縮小された画像を切り出したためです。
fotor

概要
Fotorは、Everimaging Limited という企業によって運営されています。写真編集やグラフィックデザインの分野で幅広いサービスを展開しており、特にオンラインで簡単に使えるツールとして世界中のユーザーに利用されており、Fotorはその代表的な製品の一つとなります。
ウェブサービスであるためデモ版は無く、ウェブ上で全ての機能を試すことが可能です。但し、契約していない場合は仕上がりを画面で確認できるものの、ダウンロードはできません。
尚、メニュー上に「ノイズ除去」の項目は存在せず、「AIアップスケーラ」の機能の中で、ノイズ除去が指定できるようになっています。
ノイズ除去の効果

ノイズ除去結果は CyberLink と互角ですが、画像が若干くなっています。文字部分のノイズ除去はCyberLinkより良好ですが、その弊害として文字の形が崩れてしまいました。
avclabs AI

概要
AVCLabsは、AI技術を活用して映像や画像の画質向上を実現するソフトウェアを提供している企業です。その代表的な製品であるAVCLabs Video Enhancer AIは、低解像度の動画を高解像度に変換し、画質を向上させるためのツールとして広く知られています。その姉妹製品として、写真の画質向上に特化した AVCLabs Photo Enhancer AIが提供されており、今回はこのノイズ除去機能を評価しました。
ウェブ版とアプリ版の2種類があり、ウェブ版は単一画像のノイズ除去、アプリ版はフォルダ内のファイルを丸ごとノイズ除去が可能です。尚、ノイズ除去した画像は、全て透かしが入ります。

ノイズ除去の効果


VANCE AI

概要
VANCE AIは、Vance AI Technology という企業によって開発・運営されています。この会社は、AIを活用した画像編集ツールを提供しており、写真の高画質化やノイズ除去、背景透過などの機能を備えています

ウェブサービスとしてブラウザから利用する方法と、パソコンにインストールするデスクトップ版の2通りがあります。デスクトップ版は体験版としても動作し、ノイズ除去した結果を5枚ダウンロードした時点で体験版が終了します。
料金体系はウェブサービスとデスクトップ版で異なり、ウェブサービスは事前にポイントを購入し、使いたいサービスごとに払い出していくのに対し、デスクトップ版はサブスクと買い切りの2通りが用意されています。

ノイズ除去の効果


他のサービスに劣らず、こちらもしっかりノイズ除去がされています。他に比べて若干エッジが明確化している気はしますが、誤差範囲の気もします。
YouCam

概要
YouCam は、日本の パーフェクト株式会社 が提供する画像編集ツールです。AI技術を活用し、写真の加工やメイクのシミュレーション、背景編集などが簡単にできるのが特徴です

あらかじめクレジットを購入しておき、機能ごとに定められたクレジットを消費していくという料金体系になります。クレジットは、月額固定料金に応じて一定数のクレジットが付与される「サブスクリプション」と、必要に応じて必要数を購入する「随時支払い」の2通りが用意されています。
ユーザー登録すると2クレジットが付与されるため、これを使って1~2種類の機能を試すことができます。
ノイズ除去の効果


こちらも、他のサービスに負けず劣らず、しっかりとノイズ除去がされています。文字部分も擦れてはいますが、しっかりとノイズ除去が行われています。
料金体系一覧
今回紹介した7つのサービスにおいて、ライセンス買い切りが可能なものはCyberLinkとVANCE AI の2社だけでした。使いたい時分だけ課金するクレジット購入、ポイント購入は、どうしても割高になってしまうため、利用用途に応じた見極めが不可欠です。
料金体系 | 料金ページ | |
---|---|---|
CyberLink | サブスク、買い切り(一部機能制限あり) | 通常版とサブスクの価格 |
MyEdit | サブスク、クレジット購入 | プランと価格 |
Visual Paradigm | サブスク | プランと価格 |
fotor | サブスク | プラント価格 |
avclabs AI | サブスク | プラント価格 |
VANCE AI | サブスク、ポイント購入、買い切り | プラント価格 |
YouCam | サブスク、クレジット購入 | プラント価格 |
まとめ
今回、7つのAIノイズ除去ツールを実際に検証し、その実力を評価しました。結果、どのサービスも強力なノイズ除去性能を持っており、優劣をつけるのが難しいという結論に至りました。
AIノイズ除去は、単なる画質の修復だけではなく、より鮮明な画像を得るための積極的な活用も可能です。特に、1インチセンサーやマイクロフォーサーズなどの低感度撮影の画像に適用することで、ディテールの強化や洗練された写真表現が実現できます。
とはいえ、現在のAIモデルには限界もあり、細かい文字や複雑なディテールの推定には課題が残っています。今後の技術革新により、より正確な補完が可能になることが期待されます。
あなたの用途に合ったAIノイズ除去ツールを活用し、より美しい写真・画像を手に入れてみてください!これからもAI技術の進化を楽しみながら、最適なツールを選んでいきましょう。
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