コンデジの仕様表には、焦点距離というのが必ず記載されています。
例えば、キャノンの PowerShot SX740 HS を例にすると、以下のように記載されています。
焦点距離[35mmフィルム換算] | 4.3(W)-172.0mm(T)[24(W)-960mm(T)] |
焦点距離とは
この焦点距離とは、レンズからイメージセンサーまでの距離の事です。
レンズを通して入ってきた光がイメージセンサーの表面で像を結ぶ訳なので、「ちゃんとピントが合った状態でレンズからイメージセンサーまでの距離」が焦点距離となります。
レンズから入ってきた像は、イメージセンサーのサイズ一杯に像を結ぶ必要があります。イメージセンサーのサイズに合わせてレンズのサイズも設計するため、イメージセンサーが小さくなるとレンズも小さくなります。
小さなレンズと小さなイメージセンサーの組み合わせだと、おもいきりレンズとイメージセンサーを近づける必要がありますが、逆に大きなイメージセンサーに対しては大きなレンズが必要になり、レンズとイメージセンサーの距離も、ある程度離さなければなりません。
という具合でイメージセンサーの大きさによっても焦点距離は変わってきます。
また、レンズの倍率を上げる場合は、その分に応じてレンズとイメージセンサーの距離を長くする必要があります。ズームレンズの倍率が大きいほど、レンズが長く伸びるのはこのためです。
SX740のイメージセンサーは1/2.3型なのですが、ズームレンズを搭載していますので、広角側(ワイド側)は4.3mm、望遠側(テレ側)は172.0mmとなります。
イメージセンサーのサイズに応じて焦点距離を表記するだけだと、イメージセンサーが異なるカメラと比較しづらくなるため、フィルム時代のカメラで使う焦点距離に換算して表記することがほとんどです。
SX740の場合(1/2.3型イメージセンサー搭載製品の場合)、5.6倍すると35㎜の焦点距離に換算できますので、ワイド側で24mm、テレ側で960mm の焦点距離が併記されています。
画角とは
画角とは、レンズが写る範囲を角度で表したものです。
焦点距離が短い(ワイド側)ほど広い範囲が写り、逆に焦点距離が長い(テレ側)ほど写る範囲が狭くなります。
参考までに、焦点距離と水平画角の一覧を載せておきます。
画角には縦と横(垂直と水平)があり、縦横比(3:2、4:3、16:9など)によって縦(垂直)方向の画角が変わるので、ここでは水平画角だけに絞りました。
焦点距離(ミリ) | 画角(度) |
---|---|
14mm | 104.3 |
20mm | 84.0 |
24mm | 73.7 |
28mm | 65.5 |
30mm | 61.9 |
35mm | 54.4 |
40mm | 48.5 |
45mm | 43.6 |
50mm | 39.6 |
60mm | 33.4 |
70mm | 28.8 |
80mm | 25.4 |
90mm | 22.6 |
100mm | 20.4 |
105mm | 19.5 |
120mm | 17.1 |
150mm | 13.7 |
180mm | 11.4 |
200mm | 10.3 |
250mm | 8.2 |
300mm | 6.9 |
350mm | 5.9 |
400mm | 5.2 |
500mm | 4.1 |
600mm | 3.4 |
800mm | 2.6 |
1000mm | 2.1 |
1200mm | 1.7 |
1500mm | 1.4 |
2000mm | 1.0 |
ズーム倍率の大きいコンデジの中には、2000mmという製品もありますが、これだと画角は1度ということになります。
遠くで飛んでいる鳥や、サッカーなどの広いフィールドで走っている遠くの選手を撮影する場合、1度という角度内に被写体を納めないといけないので、いかに望遠での撮影が難しいというのが感覚的にお分かりいただけるかと思います。
いろいろなカメラ雑誌において、カメラマンが「望遠の焦点距離の差より、広角側の焦点距離の差の方が影響が大きい」みたいな事を書いていたりしますが、グラフを見る限りその通りですね。
広角側だと焦点距離がすこし違うだけで撮影範囲が大幅に変わってしまいますが、望遠側だとそれほど変化はありませんね。